FAQよくあるご質問

光エンコーダ製品


ICの基本機能と動作について

Q

ICの基本的な動作について教えて欲しい。

A

ICパッケージには、発光用のLEDと受光用のICが内蔵されており、LEDから出た光はスケールで反射し受光素子に入射します。 データシートに記載されている様にスケールとICを配置することで、インクリメンタルパターンとアブソリュートパターンで反射したスケール上の明暗パターンは、インクリメンタル信号用受光素子およびアブソリュート信号用受光素子面に、2倍の大きさに拡大投影される様に設計されています。
スケールには100μmピッチのインクリメンタル用パターン(反射部50μm、非反射部50μm)と、1bitが100μmの幅の反射部または非反射部で記録されたアブソリュート用パターンが形成されており、受光素子上では200μmピッチの明暗パターンの反射光、および1bitが200μmの明または暗の反射光となります。
受光素子はインクリメンタル信号用の受光素子が複数並べられた受光素子アレイと、アブソリュート信号用の受光素子アレイの2種が用意されています。 インクリメンタル信号用受光素子は50μmピッチでA相、B相、AB相(A相の反転信号)、BB相(B相の反転信号)用の順番で配置されているため、A相とB相の信号出力はパターンピッチの1/4だけ位相がずれた信号となります。 スケールが移動するとIC上に投影される200μmピッチのパターンも移動するため、パターンの移動に伴い出力信号が変化し100μmピッチのスケール(スケール上のパターン)が移動することで、100μmが1周期の1/4周期の位相差を持つ信号が出力される様になっています。
アブソリュート信号用受光素子は100μmピッチで偶数番目素子9個と奇数番目素子9個に両端のダミーを加えた合計20個配置されており、アブソリュートデータは偶数番目9個と奇数番目9個の受光素子出力から9bitのデータが生成されます。スケールが移動するとアブソリュートパターンの1bit分は1/2周期分ずれた位置で、奇数番目受光素子と偶数番目受光素子から信号が出力されます。

ICとLEDの配置イメージ図
スケールの動きと反射光の動きのイメージ図

Q

インクリメンタル信号用受光素子アレイとはどの様なものですか?

A

受光素子はA相、B相、AB相、BB相信号用の4種をペアとして複数のペアがアレイ状に配置されています。 出力信号は同じ位相信号用の複数の受光素子の出力を平均して生成されるため、スケールやIC表面の汚れなどによる部分的な光量変化の影響を受けにくくなっています。
また、ICの取付に傾きなどがある場合、A相側とB相側に同じ様に影響が出るために相殺され、取付の影響を受けにくくなっています。

Q

AB相の位相差90度は、内部の処理で実現しているのでしょうか?

A

100μmピッチ(50μmの明暗ライン)のスケールを使用することで、IC内部で自動的にAB相の出力信号を生成しています。位相差を調整する機能はありません。

反射光の動きと受光素子の出力のイメージ図

Q

受光素子の反応する波長範囲はどのような領域でしょうか?

A

受光素子は可視光全域に渡って反応します(感度は一定ではありません)。

Q

外部からの光による出力への影響はあるでしょうか。

A

具体的なデータはありませんが、SM3414に強い光が入射すると影響を受ける場合があります。

Q

LEDのスペクトル分布の情報を教えて下さい。

A

850nmが強度分布のピークで、800nm~870nm程度の範囲でピークの5%以上の強度があります。

Q

パッケージ材料はメタノールに耐えますか?

A

埃や汚れがついてしまった場合には、メタノール、エタノールを発塵が少なく柔らかいクリーンワイパに軽く含ませ、ヘッドを軽く拭く程度として下さい。その他注意事項はアプリケーションノートを参照して下さい。

Q

取付許容誤差が仕様以下であっても、各種レジスタを個別に設定し読み出しをする使い方が必要なりますか?

A

取付や素子のバラつきなどの影響があるため、適切なレジスタ設定を行い正しいABSコード選択を行うことが前提になります。

Q

VDDとLED_VDDを同一電源で考えていますが、注意する点があれば教えて下さい。

A

VDDとLED_VDDを繋げて同一電源で使用することは可能ですが、LED電流によってはLED_VDDにはVDDより高い電圧が必要となる場合があります。この様な場合はLED_VDDが必要な電圧より低いとLED電流が飽和して必要な電流が流れなくなります。

Q

LED電流調整は常にリアルタイムの電流調整が必要なのでしょうか

A

リアルタイムでLED電流を調整する必要はありません。LEDの個体差による発光量の調整が目的です。また、ICを使用しない時はLED_CON入力電圧をパワーダウンすることでLED電流もOFFすることができます。

スケール及びスケールとICの取付位置について

Q

Mコードとはなにか教えてください。

A

M系列に符号化された2進数コードのことを言います。SM3414では線形帰還シフトレジスタを使用して符号化を行ったコードを使用しています。 特徴はnbitのデータで2のn乗のデータを表現でき、そのm番目と前後のデータの間では、(n-1)bitのデータ(1または0)はそのままの値で1bitシフトし、最上位または最下位のbitが元のnbitのデータの排他的論理和を取った値となることです。 この特徴はそのままアブソリュートパターンに適用ができ、SM3414では8bit分のパターンが1bit分シフトされ、新たに1bit分のパターンが使用されることとなり、1トラックのパターンで512カ所の位置を特定する事が可能となっています。

Q

SM3414用スケールにはインクリメンタルとアブソリュートの2つのパターンがありますが、ICとスケールの取付位置に関してインクリメンタルエンコーダとは別の注意点はありますか。

A

データシートにも記載がある様に、Yawにズレがありパターンに対してICが平面的に傾いた状態になると、受光素子に対してインクリメンタルパターンとアブソリュートパターンが傾いて投影されます。その結果、インクリメンタル信号のレベルにより読み出すアブソリュート情報を選択する方法を変更する必要が出る場合が発生します。

Q

テスト用のスケールを貴社から購入または頂くことはできないでしょうか?

A

テスト用スケールの提供は可能です。

インクリメンタル信号について

Q

インクリメンタル電源立ち上げに関してVDDとLED_VDDの同時立ち上げはOKなのでしょうか?

A

VDDとLED_VDDを接続して、同時に立ち上げても問題ありません。

Q

インクリメンタル信号の最大出力周波数が10kHzとなっていますが超えるとどうなりますか?

A

出力振幅の低下、正弦波出力波形の歪悪化などの可能性があります。

Q

インクリメンタル信号に関して出力信号振幅が0.18~0.70Vppと幅が広いですが、これは個体差によるものでしょうか?

A

インクリメンタル信号出力信号振幅の仕様は、個体ばらつきの範囲を指します。

Q

インクリメンタル信号の PA信号とPB信号の間での出力ばらつきの保証はあるのでしょうか?

A

同一個体のPA、PB信号については仕様での保証値はありませんが、数十mV程度と考えて下さい。 要因として大きなものはLEDの個体バラツキとIV変換抵抗のバラツキになります。

Q

インクリメンタル信号のオフセット電圧(0.5VDD)の精度はどの程度でしょうか?

A

オフセットについて仕様はありませんが数十mV程度のバラツキがあります。

Q

インクリメンタル信号は、データシートに記載の条件(ゲイン設定0dB等)での出力電圧振幅が 0.18~0.35~0.7Vp-p となり、GA/GBのゲイン設定により出力が飽和するまで設定する事が可能との理解で良いでしょうか?

A

その理解で合っていますが、ゲイン設定を高くした場合やLED電流を大きくした場合、インクリメンタル出力は0[V]、VDD[V]付近で飽和します。

Q

出力振幅の個別ばらつきの統計データはありますか?

A

実力データについては提示可能なデータはありません。

Q

オフセット電圧、A/B相位相差についても統計データがあれば教えて下さい。

A

実力データについては提示可能なデータはありません。

アブソリュートデータについて

Q

アブソリュート二値化しきい電圧調整機能の設定の目安、設定例を教えて下さい。

A

インクリメンタル信号とアブソリュート信号の振幅により設定値が変わります。アブソリュート信号の振幅の40%~50%付近を狙って設定してください。詳細はデータシート、アプリケーションノートを参照して下さい。

Q

アブソリュート信号 位相選択機能の説明がありますが、センサ内部で自動的に「ABSコード1,2」が選択されるのでしょうか?

A

お客様にて選択して読み出す必要があります。内蔵レジスタ読出しのシリアルインターフェースコマンド送信時のSEL[2:0]で指定ができます。ABS_DATA(奇数)がABSコード1、ABS_DATA(偶数)がABSコード2に相当します。

Q

アブソリュートデータのABS_DATAレジスタの偶数PDとと奇数PDの選択とは何のために行うのでしょうか?

A

アブソリュート信号のレベルが変化するタイミングでは、二値化された内部アブソリュートコード(ABS CO)も変化し、このタイミングでデータを読み出すとMコードからバイナリコードへの変換が正しく行われません。適切なVCOMP電圧を設定することで、切り替わるタイミングが広くなる様に設定し、インクリメンタル信号のレベルにより、偶数PDと奇数PDで安定した側のデータを読み出す様にします。

Q

インクリメンタル信号のレベルに合わせてアブソリュートデータの読出しを変える具体的な手順を教えて欲しい。

A

以下の順番で読出しを行ってください。
(1) PAまたはPBの電圧によりインクリメンタル信号の位相を検出します。
(2) 検出した位相から偶数/奇数選択(SEL[2:0])を決めて読み出しコマンドを送信します。
(3) SM3414内部では、SEL[2:0]に続くアドレス指定A[2:0]が入力されたタイミングで、選択された二値化されたアブソリュート信号(Mコード)からバイナリコードに変換してシリアル出力データが決定されます。
(4) アドレス指定A[2:0]に続けてSM3414から出力されるデータをアブソリュートデータとして読出します。